人間などの哺乳類と同じように、パンダの疾病も内科病、外科病、産科病、伝染病と寄生虫病などに分けています。長期にわたる進化と環境の変化により、パンダはもともとの肉食類から今の竹を主食する食草類動物に変わりましたが、分類学ではやはり食肉目の凶悪な動物に属しています。口の中の咀嚼用の発達している筋肉、鋭利な歯、機敏な爪を持っているパンダはおとなしそうに見えますが、怒ると非常に凶悪でコントロールしにくいです。この故に、病気にかかったパンダにも近づけないから、研究者たちはやむを得ず麻酔をかけて寢らせてから検査、診断と治療などを行っているのです。だから、本当のパンダ医者になるには、パンダの麻酔技術もマスターしなければなりません。
パンダの内科病というと、主に消化系統、呼吸系統、泌尿器系統、神経系統、造血系統などの病気があります。特によくある病気は、急性胃腸炎、慢性胃腸炎、風邪、肺炎などです。パンダの命にかかる病気は主に熱中症、腸閉塞、腸重積症、腸捻転、急性膵臓炎、腎不全などです。
パンダがかかりやすい怪我、骨折、外傷性脳損傷、腫瘍などの外科病はほとんど手術で治療しなければなりません。しかし、パンダの動き好きな習性が傷口の癒合に妨げるから、その外科病を治療する鍵が手術後のケアだとされています。
パンダの産科病は主に想像妊娠、流産、難産、外陰むくみ、子宮内膜炎、卵巣嚢腫、卵管閉塞、不育症などがありますが、特に多発するのは想像妊娠と流産です。生まれたばかりの赤ちゃんの体重はただママパンダの1/1000しかないから、胎児の大きさによる難産の可能性がかなり低いのに対し、ママパンダの子宮アトニーによる産力性難産が多いです。いままで報道された唯一のパンダの難産例は成都パンダ繁殖基地で起きたのです。家系図番号401番の「二ガール」というママパンダが羊水が出た14時間後もまた子宮収縮などの兆候がないから、B超音波の検査で胎児がママパンダの子宮に残った状態が気づかれ、漢方薬なとの併用治療で、死亡した胎児を排出したことに成功し、手術がなくてすみました。
伝染病はパンダの健康と命に特に脅威のある病気です。サーズや鳥インフルエンザなどの新型伝染病への予防策が不備だから、パンダに多大な被害だけでなく、時にはダメージまで与える可能性もあります。パンダの人工飼育歴にはこんな心痛い例もいくつありました。前世紀80年代に保護された野生パンダが持ってきた大腸菌により伝染された出血性腸炎で、二年間で20頭近くのパンダの命が奪われました。離乳された赤ちゃんパンダが輪状ウイルスでよくかかる難治性下痢と慢性栄養不良病、犬のジステンパーによるパンダのジステンパー、パルボウイルスによるウイルス性腸炎なども人工飼育パンダに多大な損害を与えました。世界中の科学者たちの努力と協力で、パンダの伝染病予防と治療は重大な突破を遂げました。侵襲性大腸菌O152によるパンダの出血性腸炎、離乳された赤ちゃんパンダの輪状ウイルスでかかる難治性下痢と慢性栄養不良病などの予防策と治療法は既に発見され、パンダのジステンパーを防ぐワクチンも選別されてきました。
ンダの寄生虫病は体内寄生虫病と体外寄生虫病に分けられます。いままでパンダの体に発見された寄生虫は22種もあるが、多発するのは蛔虫病、蠕蟎病、蜱病などです。
寄生虫病の人工飼育パンダと野生パンダでの発生率と影響力は随分異なります。人間からのケアを受けている人工飼育パンダのかかった寄生虫病の感染率と影響力の低さに対し、寄生虫病の野生パンダへの影響力が明らかに大きいし、その死亡の主因となっています。科学研究の結果によると、野生パンダの寄生虫病の感染率は100%に達し、ある野生パンダの体内で発見された寄生虫は何と1605本もあるのです。前世紀の80年代から90年代の間に、野生パンダの保護事業に全力を尽くしている成都パンダ基地に保護されたパンダは63頭あり、その中の58頭は完治されました。いま国内外に点在しているこれらのパンダが中国の人工飼育パンダのベースとなっています。
パンダの疾病予防と治療の分野で、成都パンダ繁殖研究基地は相次いで次の難題を解決しました:
1.パンダの出血性腸炎(侵襲性大腸菌O152による感染病);
2.人工飼育パンダの寄生虫病;
3.パンダの慢性栄養不良病;
4.パンダのウィルス発生性の心筋炎;
5.離乳された赤ちゃんパンダの輪状ウイルスによる難治性下痢;
6.ジステンパー・ワクチンのパンダへの免疫保護効果が評価されました;
7.パルボウイルス・ワクチンのパンダへの免疫保護効果が評価されました;
8.インフルエンザ・ワクチンのパンダへの免疫保護効果が評価されました;
9.フェレットのジステンパー・ワクチンのパンダへの安全性が評価されました;
10.パンダのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌性肺炎の予防術;
11.パンダの歯髄炎の根治技術;
12.パンダの感染性血尿病の病原体鑑定と予防;
13.パンダの吸入式麻酔と麻酔のモニタリング。