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新型コロナウイルスが流行の中、ジャイアントパンダの「毛桃」の手術が無事に成功
 

 2020年2月4日、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地(以下、成都パンダ基地)のオスのジャイアントパンダ「毛桃」(マオタオ、2016年7月26日生まれ)が、突然元気を無くしてうずくまり、食欲不振や粘膜便の排泄などの症状が現れました。

 それからの4日間、成都パンダ基地の獣医チームは「毛桃」の精神状態や食欲、排せつ状況などを注意深く観察し、水分補給や消化器官機能の調整に努めました。その結果、「毛桃」の精神状態はやや好転し、少量の食物を採食するようになりました。しかし、大便の排せつが一向に見られず、排尿の回数も目に見えて減少しました。2月8日午前、全く食欲が無い「毛桃」が突然、激しく嘔吐しました。嘔吐物は、泡状の液体に食物のかすが混じっており、酸っぱいにおいがしていました。「毛桃」はすっかり元気を無くしていました。

 「毛桃」の症状が悪化したことを受け、獣医チームは直ちに「毛桃」の麻酔下での検査と治療を実施しました。検査の結果、「毛桃」の身体の各指標は異常値を示していました。現在の症状と検査結果に基づき、獣医チームは急いで再度診察を行い、「毛桃」は上部消化器官閉塞を患っている可能性が極めて高いという結論で一致しました。獣医チームは再び「毛桃」の細密検査を行い、その結果、胃の幽門部に近い箇所で十二指腸閉塞が生じていることが明らかになりました。

 成都パンダ基地の獣医師は「ジャイントパンダの幽門や十二指腸などの消化器官の閉塞は、中国国内外のジャイアントパンダの飼育の歴史において前例が無いため、参考にできる臨床事例がありませんでした」と話しました。手術を成功へ導くため、新型コロナウイルスの感染予防対策を十分にとったうえで、グリーンカード(ウイルス未感染を証明するカード)を所持している成都市内の獣医スタッフに招集をかけました。自宅で隔離中のスタッフに至っては、オンライン上で「毛桃」の症例の会議と診察に参加しました。また、核工業部416病院の外科専門医師を招き、「毛桃」の手術の全工程の指導を仰ぎました。

 2月10日、成都パンダ基地の獣医チームと核工業部416病院の外科専門医師との共同手術の末、「毛桃」の体内に残っていたタケの塊を取り除き、十二指腸閉塞の治療に成功しました。成都パンダ基地の獣医師は「手術はわずか1時間ほどで終了し、手術前の各検査やプランニングなどの会議に要した時間には遠く及びませんでした」と感慨深い様子で話しました。

 手術は無事に成功しましたが、十二指腸閉塞が解消される前の激しい嘔吐と食欲不振による代謝性アルカローシスが原因で、術後の「毛桃」に再びショック症状が現れました。この突然の事態に、獣医チームは直ちに再び診察を行い、36時間にも及ぶ不休の治療の末、「毛桃」はようやく危険な状態から脱することができたのです。「私たちは、30数時間もの長い時間を戦い抜きました。“毛桃”がショック症状を完全に脱するまで、1人として休んだ者はいません。しばらくの間、目を閉じることさえも無かったほどです」手術に関わった獣医師はこう話しました。

 手術後、「毛桃」が腹部の縫合箇所をひっかくことによって傷口が開いてしまったり感染が懸念されたため、獣医チームは「毛桃」に対し24時間体制で精神状態のケアや治療を行いました。「毛桃」を見守り続けたある飼育員は「術後の“毛桃”は言うことをよく聞きました。傷口をひっかこうとするたび我々が名前を呼ぶと、“毛桃”はすぐに私たちの顔を見て前肢を下ろし、その後、再び傷口をひっかくことはありませんでした。“毛桃”は、当初はタケ粉や栄養液のみを口にしていましたが、今ではタケノコを食べられるまでに回復しました。排便状況も正常で、毎日23㎏ほどの糞をしています」と話すと、大きな口を開けてタケノコをほおばる「毛桃」を見つめ、安堵の表情を浮かべました。

 36時間にわたる不休の治療により、「毛桃」は病気に打ち勝ち、命をつなぐことができました。徐々に回復傾向にある「毛桃」の様子に、誰もが胸をなでおろしています。この度の手術の成功が意味することは、1頭のジャイアントパンダの命が救われたことだけではありません。ジャイアントパンダの疾病治療の成功例の1つとして、その治療理論体制の充実に大きく貢献したと言えるでしょう。