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「ジャイアントパンダ 保護と繁殖国際大会」および「2018年度 ジャイアントパンダ繁殖技術委員会年会」が成都で開催
 

 2018年11月7日から11日の5日間、「ジャイアントパンダ 保護と繁殖国際大会」および「2018年度 ジャイアントパンダ繁殖技術委員会年会」が四川省成都市で開催されました。

 8日の午前9時、会議は正式に幕を開けました。大会では、中国林業草原局(中国公園管理局)の李春良副局長が開幕の挨拶を述べました。四川省人民政府副省長の楊興平氏、陝西省人民政府副省長の薛建興氏、甘粛省人民政府副秘書長の楊隴軍氏、フィンランドの農林省代表のMarja Kokkonen氏らが代表で挨拶しました。アメリカ合衆国、オーストリア、オランダなどの中国駐在大使館や領事館、四川省・陝西省・甘粛省3省の林業主管部や各保護区、各国のジャイアントパンダの飼育機関、大学、研究施設、業界団体、国際組織などの代表者400名あまりが開幕式に参加しました。

 李春良氏は挨拶の中で、「ジャイアントパンダは“生きた化石”や“中国の国宝”と称されます。ジャイアントパンダの保護を行うということは、生物多様性と生態系のバランスの維持に重要な意義をもたらします。今日、“ジャイアントパンダ 保護と繁殖国際大会”および“2018年度 ジャイアントパンダ繁殖技術委員会年会”が盛大に幕を開けました。当会議の目的として、ジャイアントパンダの保護の成果を皆さんと分かち合い、保護事業における国際交流のプラットホームを構築し、その保護管理と国際共同研究レベルの向上を図ることが挙げられます。ジャイアントパンダは、我々人類にとって貴重な自然遺産と言えます。しかし、その保護においては多くの困難に直面しており、新たな挑戦に溢れた事業といえます。今会議では、皆さんで知恵を出し合い、多くの知恵と力を合わせ一致団結してジャイアントパンダの保護に努めていきたいと考えています。絶滅危惧種の保護と生態系の構築に大きな貢献がもたらされることを願ってやみません」と、述べられました。

 過去最大規模の400名余りが参加

 世界の専門家の知恵が集結

 今回の「ジャイアントパンダ 保護と繁殖国際大会」は、国、省、市レベルの関連部門の代表者らも非常に高い関心を示しました。中国林業草原局(中国公園管理局)と四川省、甘粛省、陝西省3省の人民政府による初の共催で開催され、四川省林業局、陝西省林業局、甘粛省林業草原局、成都市林業園林管理局、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基金会共催、中国動物園協会、中国野生動物保護協会、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地(以下、成都パンダ基地)、中国ジャイアントパンダ保護研究センター協賛で、過去最大規模の大会となりました。

 アメリカ合衆国のワシントン動物園やドイツのベルリン動物園など16のジャイアントパンダの共同繁殖研究機関の代表ら、アメリカ合衆国のスミソニアン学会などの17の国際科学研究機関の代表ら、UNDP(国連開発計画)やWWF(世界自然基金)などの10の国際組織の代表者ら、香港、マカオ地区の代表ら、北京大学、浙江大学、北京師範大学などの20以上の大学や科学研究機関の専門家ら、四川省臥龍地区、陝西省仏坪県、甘粛省白水江などの20余りのジャイアントパンダの保護区の専門家ら、北京動物園、上海野生動物園、広東長隆グループなどの中国の30か所余りの動物園の代表ら、計400人余りが大会に出席しました。大会では、ジャイアントパンダの域内保全と野生復帰、飼育と繁殖、栄養と行動、疾病予防とコントロール、コミュニティの発展、教育普及などをテーマに高度な意見交換と交流が行われました。軍事科学院軍事獣医学研究所学士院会員の夏咸柱氏、中国科学院動物学研究所学士院会員の魏輔文氏、アメリカのスミソニアン・ナショナル・ズーロジカルパークの高等研究員のDavid Wildt氏などのトップレベルの専門家が学術報告を行いました。

 中国林業草原局がジャイアントパンダの最新データを公表

 会議では、中国林業草原局の李春良副局長からジャイアントパンダの最新データの発表がありました。

 2018年11月現在、世界のジャイアントパンダの飼育個体数は548頭と、過去最高を記録しています。2018年には、36回の繁殖で計48頭の出産、そのうちの45頭の成育に成功し、赤ちゃんの生存率は93.75%に達します。そのうち、中国ジャイアントパンダ保護研究センターでは31頭(マレーシアで繁殖した1頭を含む)、成都パンダ基地では11頭(日本で繁殖した1頭を含む)、北京動物園では3頭です。現在、健康的で活力に溢れた発展継続可能なジャイアントパンダの飼育個体群を形成していると言えます。

 現在、中国は17の国、22か所の動物園と共同でジャイアントパンダの保護研究プロジェクトを展開しており、そのプロジェクトに関与しているジャイアントパンダは58頭に及びます。今やジャイアントパンダは、国際友好の重要な架け橋的役割を担っており、世界中の人々がこぞって保護に取り組まんとする絶滅危惧生物保護の代表種とも言える存在です。

 また、今年も引き続き、ジャイアントパンダの人工繁殖個体の野生復帰プロジェクトを展開しています。2003年のプロジェクト開始以来、野生復帰を果たした飼育繁殖個体は10頭に達しています。

 中国林業草原局によるジャイアントパンダの保護と繁殖状況、今後の重点事項に関する報告

 会議では、中国林業草原局野生動植物保護司の張志忠副司長がここ数年来におけるジャイアントパンダの保護と繁殖状況の総括を行い、続けて、今後の業務における重点事項について説明しました。

 1.適切な方法でのジャイアントパンダの生息地の保護の強化と、重要な生態系プロジェクトの実施に努め、ジャイアントパンダの生息地の破壊と生息地の分断化によって引き起こされる個体群同士の遺伝子交流の減少問題の解決に注力すること。

 2.世界の貴重な経験や先進技術を積極的に取り入れ、ジャイアントパンダ国家公園体制の試行強化に努め、保護管理のレベルの向上を図ること。

 3.規則に基づいた野生復帰プロジェクトを展開すること。ルールに基づいた訓練場の建設にはじまり、様々な復帰形式、復帰方法、復帰地域などの研究を通じて最適な復帰方法を確立し、野生復帰による野生個体群の補充という最終目的を果たすこと。

 4.ジャイアントパンダの科学研究の優秀な人材グループを組織し、高度な研究を展開し、科学研究レベルの全体的な向上を図ること。また、国際的な協力関係を深め、交流のプラットホームの構築を推し進めること。

 5.ジャイアントパンダの個体群同士の遺伝子交流を促進すること。制度や法案に則った方法で、飼育個体群の繁殖プランの確立や個体同士の交流を促し、科学技術を応用した野性個体の交流の場の増強を図ること。

 6.人々のジャイアントパンダの保護に対する想いや意見を正しい方向へ導くこと。中国国内におけるジャイアントパンダの飼育・展示管理の徹底を図り、規則に沿った適切な展示・貸与活動を心がけること。また、教育普及を目的とした飼育展示であることを強調し、厳密な監督や検査体制を確立すること。

 7.ジャイアントパンダの文化やアートが持つ各形式のイベント活動の展示、発掘を奨励し、支援すること。ジャイアントパンダの保護が持つ各要素の充実を図り、生態文明を促進するうえでのジャイアントパンダが持つ独自の作用を発揚すること。

 中国林業草原局によるジャイアントパンダ国家公園の試行進捗状況の公表

 会議では、中国国家公園管理事務室の唐小平副主任よりジャイアントパンダ国家公園の試行進捗状況について報告がありました。

 ジャイアントパンダ国家公園の総面積は2.7万㎢に達し、80か所余りの保護区と多くの国有林業局を統合し、四川省、陝西省、甘粛省3省のジャイアントパンダの主要な生息地、遺伝子交流促進のためのコリドーや潜在的生息地を覆っています。国家公園は、四川省、陝西省、甘粛省3省の希少野生動植物の新たな保護システムという重大な任務を担っており、ジャイアントパンダの保護の新たなモデルパターンの誕生とも言えます。『ジャイアントパンダ国家公園体制の試行実施法案』もすでに編成が完了しており、その中には業務の要点、道筋、タイムスケジュール、責任機関などが明確に記されています。また、保護管理機関と法執行チームの設置も完了しており、『ジャイアントパンダ国家公園の全体計画』の初期プランの構成や特別プランや特定のテーマに関する研究にもすでに着手しています。同時に、投資を拡大したことで、資源の保護と協力関係をより一層強めることにも繋がりました。2020年末までに、ジャイアントパンダの現在の分断化された各生息地の個体群同士の交流の促進や国家公園内の生態系の大幅な改善、指定区域の生態系の厳密な保護制度の実施が求められます。

 ジャイアントパンダ繁殖技術委員会で2018年度の業務報告が行われる

 成都パンダ基地の主任、研究員で、中国ジャイアントパンダ繁殖技術委員会の主任も務める張志和博士により「2018年度 ジャイアントパンダの繁殖技術委員会年会報告」が行われました。今年の業務総括とその成果について、また来年度の業務計画や目標についても言及しました。張主任は「ジャイアントパンダの飼育個体群はめまぐるしい速さで増加しています。ジャイアントパンダの各管理機関に求められることは、ジャイアンパンダの健康と安全を前提とし、計画に忠実で適切な飼育個体群の発展を目指すことです。そして、保護事業の安定的な発展に向け、ジャイアントパンダの野生復帰トレーニングの科学的な技術体制を整える必要があります」と強調しました。

 

 








中国林業草原局の李春良副局長による挨拶


中国林業草原局野生動植物保護司の張志忠副司長による報告


中国国家公園管理局事務室の唐小平副主任による報告


四川省人民政府副省長の楊興平氏による挨拶


陝西省人民政府副省長の薛建興氏による挨拶


甘粛省人民政府副秘書長の楊隴軍氏による挨拶


フィンランドの農林省代表のMarja Kokkonen氏による挨拶


ジャイアントパンダ繁殖技術委員会主任の張志和氏による報告